角の二等分線を見たときにまず考えたい発想は線分比です。他には、二等辺三角形が隠れている場合がある、という発想です。ここでは実際の高校入試問題を取り上げ、#1や#2で養った発想を試します。
直接ここに来た方は、二等辺三角形が隠れている発想を養うためこちら↓もご覧ください。


問題. 19年 灘
?の長さを求めよ

怪しげにも △ABC の角度と △C の角度に関係性があります。それも倍半分の関係性が。これをどう使うか。ひとまずは、倍になっているものを半分にすれば、角の二等分線です。
解1. 線分比の発想:∠B の二等分線をADまで
解1. イメージ
解1
∠B の二等分線を線分 AD まで伸ばした点を E と置くと、
△BED∽△CAD(∵∠EDB=∠ADC=90∘,∠EBD=∠ACD)
かつ、相似比は 1:4(∵BD:DC=1:4) なので、
DE:EA=1:3

線分 BE は ∠B の二等分線なので、
BD:BA=DE:DA=1:3

△ABD に三平方の定理を適用して、
12+AD2=32∴AD=2√2(∵AD>0)

△ADC に三平方の定理を適用して、
42+(2√2)2=AC2∴AC=2√6(∵AC>0)

解2. 二等辺三角形の発想#1:∠B の二等分線をACまで
解2. イメージ
解2
∠B の二等分線を線分 AC まで伸ばした点を F と置くと、
△BFC は二等辺三角形
となるから、BC=5 より、
BH=HC=52。

さらに BD=1 より、
DH=32
となる。ここで、FH//AD より、
△CFH∽△CAD
なので、
CF:FA=CH:HD=5:3
となる。

ここで、線分 BF は ∠B の二等分線であることより、
CF:FA=5:3=BC:BA
だが、BC=5 なので、
BA=3
となる。

△ABD に三平方の定理を適用して、
[この後は解1と同じのため、省略]
∴AC=2√6
解3. 二等辺三角形の発想#2:外角からの二等辺三角形
解3. イメージ
「角の二等分線#2」(↓記事)で見たように、外角を使って二等辺三角形を見出す場合もあります。これもそのケースですが、通常では AG という補助線はなかなか思いつきません。少なくとも「外角の定理からの二等辺三角形」の発想の引き出しを持っていることが必要です。
直角三角形を折り返して二等辺三角形にする発想や、外角の定理からの二等辺三角形の発想はこれらの記事でも扱っています。


解
△ABC の頂点 A から対辺 BC に向かい、∠AGB=∠ABG となるような、点 B とは異なる点 G を取ると、△ABG は二等辺三角形となる。

ここで ∠AGB=2∠C なので、外角の定理より、
∠ACG=∠CAG
となるから、△CAG は二等辺三角形である。

すなわち、
GA=GC=3(∵DG=1)
なので、△ABG も二等辺三角形であることに注意すると、
AB=AG=3

△ABD に三平方の定理を適用して、
[この後は解1と同じのため、省略]
∴AC=2√6
まとめ
同じ問題を3つの解法で解きました。普段、問題集などで問題を解いているときにも別解があったりしますが、そのような時、ぜひ別解も大事にしてください。そうすると引き出しが増えて理解の奥行きが深まります。
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