これまでは自動車はガソリンで走っていましたのであまりこのようなことを意識しなかったですが、昨今は電気自動車も出てきたので他の電気製品と比べてどうなのだろう、と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事を読めば、自動車の走行パワーがどの程度なのか、エアコンに比較したら何台分くらいなのか、が分かります。
自動車の走行パワー
走行抵抗
自動車はエンジンやモーターを回して走行しますが、走行に要しているパワーはどの程度なのでしょうか。それにはまず走行のために自動車が発揮している力の大きさを知る必要があります。
走行のために必要な力は走行抵抗といい、次の4つから成ります。
- 転がり抵抗
- 空気抵抗
- 加速抵抗
- 勾配抵抗
これらの詳細は↓の記事で述べていますので、ここでは結論だけそこから持ってきて話を続けます。
平坦なところを一定速度で走行する場合の走行抵抗は、通常の小型乗用車を想定すれば一例として次の式で表されます。
Fall=0.05V2+1.0V+100
ここで、Fall の単位は[N]、V の単位は[km/h]です。
パワー(仕事率) P [W]はここで求めた力に速さを掛けて得られます。速さは [m/s] の単位のもです。
走行パワー
時速80km
いま自動車が時速80kmで等速走行しているとすると、上の式に当てはめればそのときの走行抵抗は500[N]と計算できます。
Fall=0.05×802+1.0×80+100=500[N]
この時に自動車が行うパワー P は、この500[N]に速さである80[km/h](を[m/s]の単位に直したもの)を掛けて、
P=500[N]×80[km/h]×10003600÷1000=11.1[kW]
となります。最後の ÷1000 は、パワー P の単位を[W]から[kW]にするためのものです。
時速100km
この場合も同様に計算してみると、
Fall=0.05×1002+1.0×100+100=700[N]
P=700[N]×100[km/h]×10003600÷1000=19.4[kW]
となります。
エアコンの消費電力
一方、エアコンの消費電力はどの程度でしょうか。
カタログの消費電力と期間消費電力量
例えばパナソニックの24年モデルLXシリーズ18畳タイプだと、消費電力は1500[W]、期間消費電力量は1655[kWh]とあります1。
カタログに出ている消費電力は結構フル稼働に近い状態で消費する電力で、期間消費電力量は平均的な使い方を想定した場合の年間の消費電力量です。なのでここではより現実に近い比較ということで期間消費電力を用いて計算します。
期間消費電力量を時間当たりの消費電力量に換算すると?
期間電力消費量は、冷房期間が5月23日~10月4日の135日間、暖房期間が11月8日~4月16日までの160日間の計295日間を日当たり18時間つけた場合の消費電力量なので2、一年を通じて平均するとその消費電力は
1655[kWh]÷295[日]÷18[時間]=0.31[kW]
となります。あれ!?エアコンの消費電力は意外に低いもんだな、というのが私の印象ですが、皆さんはどうですか?
時速80kmではエアコン35台分程度
さて、計算の準備が整ったので、いよいよ時速80kmに要するパワー11.1[kW]はエアコンの消費電力0.31[kW]何台分かを計算します。
11.1[kW]÷0.31[kW]=35.8
となり、約35-36台分ということが分かります。やっぱり結構なエネルギーを消費しているのだな、と改めて思います。
ついでに、カタログ値上の消費電力1500[W]でも計算してみます。
11.1[kW]÷1.5[kW]=7.4
7-8台分であることが分かりました。
まとめ
自動車が時速80kmで走行するときに要するパワーは11.1[kW]、エアコンのカタログ値上の消費電力は1500[W]、期間消費電力量から換算した消費電力は310[W]であることから、
- フル稼働に近い状態のエアコンでは、7台程度
- 平常運転も加味した平均的な使い方では、35台程度
ということが分かりました。
コメント