このシリーズでは領域の基本問題を扱います。まず#1では順像法(本投稿:#1-1)と逆像法(#1-2)の考え方をそれぞれの投稿でじっくりと腹落ちします。#2では代表的な問題を順像法と逆像法のそれぞれで解きます。両方を見比べることにより、どちらがより自分になじむかが分かってくると思います。さらに#3ではおそらく高校では習わないであろう裏技解法を紹介します。
#1-2
#2
#3
y=2tx−t2 の通過領域
まずはここで考える問題とその解答を先に示すことでゴールを明確にします。
t が実数全体を動くとき、直線 y=2tx−t2 が通過する領域を図示せよ。
実際に通過させるとこのようになります。
解1. あっさりしすぎ?
[解1] 直線の式を t で整理して
y=−t2+2tx=−(t−x)2+x2≤x2
よって、
y≤x2
解2. 一時的に変数を固定する:小窓から覗く気持ち
上記の解答はあっさりしすぎて逆にわけがわからないかもしれません。慣れるまでは一時的に変数を固定するとよいです。
x=X は小窓
[解2] x=X で固定したときの y の通過範囲を考える。
y=−t2+2tX=−(t−X)2+X2

より、y≤X2
定数 X を変数 x に戻して、
y≤x2
解説. 小窓を動かして確認する:ファクシミリの原理
まだモヤモヤしてますよね。ファクシミリのイメージを持ってもう少し詳しく見ます。ファクシミリは今は昔の機械なので、知らない人も多いかと思いますが。。。
X を固定して覗く
モヤモヤは「この解答も最初の解答とほとんど変わってないやん!」というところだと思いますが、「x=X で固定」というところがミソです。これで少し自分の頭を整理しています。
このように明示的に固定することにより、次のように小窓から覗いている感覚を味わいます。
X を固定しながらも覗く窓を変えていく
上記で固定した X を少しずつ動かして同じように覗いていきます。時間がかかるので先ほどの絵よりもずいぶんと早巻きです。
ここの気持ちが、
定数 X を変数 x に戻して
です。解答の冒頭では、
x=X で固定したときの y の通過範囲を考える。
と宣言していますが、この固定の X の値は何でもよい値です。何でもよいので変数に戻しても差し支えありません。このように、解答の途中で一時的に「固定」するのは解答者の自由であり、単に頭を整理するためだけに行っているものです。途中で一時的に「固定」するのは自由ですが、そのあとは元に戻しておきましょう。
まとめ
領域問題の最も基本的な解き方を見ました。ファクシミリの原理という名称は正式な数学用語ではありませんが、界隈ではよく使われる言葉なのでここでも使いました。ファクシミリの原理が最も基本的というのはどのような問題でも基本的にこの考え方で解決できるからです。しかし一方で計算量は多いことが多いです。そのような時、さらに#1-2や#3などの解法を知っておくとよいでしょう。本稿と#1-2の違いは#2で論じています。
#1-2
#2
#3
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